イギリス実習日誌③~地域医療を成立させるコメディカルの力~
週末が終わり、新しい週が始まりました。
週末はカフェでMECのサマライズ講座を見て国試の勉強したりしましたが、合間にEastborneの街を観光したり、普段と一風変わった気分転換ができました。
Eastborneはイギリス現首相であるメイ首相の出身地で、観光が盛んな、のどかな港町です。
有名な観光スポットにBeachy Headという広大な海岸沿いの崖があり、有名な景勝地があります。
ハリーポッターやナルニア国物語の撮影でも使用された場所ですが、もうひとつの有名な理由があるそうです。
自殺の名所
世界的に有名な自殺スポットらしく、世界中から自殺目的の人があつまってくるそうです。
ちなみに富士山の樹海も世界的に認知されているそう、、、
なにも知らずに行けば本当に綺麗な場所らしいですが、僕が行った日はあいにく曇天で風が吹き荒れ、いかにも怖いスポットに見えてしまいました💦
さて、180°話を変えて今日の実習日誌です。(笑)
今日はコミュニティセンターで研修してきました。
午前中はコンサルタントの外来を見学、午後はPsychiatric Nurseと共に患者訪問にいってきました。
外来での症例をご紹介します。
#1 MS患者のdepression
MS患者の50%はうつ症状を併発するらしいです。
前頭側頭野にも病変があり、Mild Dementiaも発症しています。
SNRIであるVenlafaxineで加療の方針となりました。
Promethazineは高齢者に効き、睡眠や興奮にも聞くが抗精神病薬は認知症に悪影響があるそう。
#2 Schizophrenia(統合失調症)
薬剤の服用中止と共に再発した症例です。
妄想障害も発症しており、Drに不信を抱いています。
かなり方針に難渋しておられました
#3 うつ病
Down症の息子を院内感染で亡くし医療に不信を抱いていました。
当時、自分が治療を把握できていなかったことを後悔し、自殺しようとしている
来週に息子の葬式があるそうです。
イギリスはNHSによってかなり医療がコントロールされている国です。
つまり地域医療は一つの病院にリソースを集中しているので、
医療不信がおこってしまうと他に行く病院もなくなってしまいます。
午後からは患者さんを自宅から病院まで送迎するTransfer serviceや薬剤変更に伴いモニタリング中の患者さん宅に精神科専門Nurseと共に伺いました。
Nurseには1から5までのGradeがあり、Specialist Nurseになると限られた範囲と医師に報告する義務はあるが処方権まであるそうです。
薬剤変更も入院管理下で行わず、専門の資格を持つ看護師が毎日自宅にモニタリングいく事で病院から地域に移す仕組みを成り立たせており、この仕組みはこれから日本で地域医療を成り立たせていく上でも重要なのではないかと感じました。
ちなみに医師であっても専門外の分野では、Specialist Nurseのほうが全然デキるらしいです。(笑)
ちなみにイギリスで新しく創設されたコメディカルにPhysical Associateがあります。
2年前に創設され、次の11月からやっとトレーニングを終えた1期生達が臨床現場に出てくるそうです。
診察、検査などを専門に行うコメディカルで、処方権はありません。
Doctor AssistantなどPaper workを中心に行う職種もあるらしいです。
このようなコメディカルもやはり地域医療にとって救いの手となりうると感じますが、
専門職ができすぎるとその分コストもかかってしまいます。
NHSはどうマネジメントしているのか気になるところです。
余談ですが、こっちにきて病院のマネージャーと話す機会が何度かあったのですが、
元ナースの人が比較的多かったように感じました。
日本でもナースから経営にキャリアアップしている人もいるんでしょうか?
これからは日本でもコメディカルのキャリアアップをもっと考えた方がいいのではないかとふと思った真冬のイギリスの夜at December
あ、そーいやまだフィッシュアンドチップス食べてない(笑)