医大生Kのブログ

CATALYSTという医大生向けWebを運営する医学生が書くアウトプットのためのブログです!大衆受けしないニッチな内容ですが少しでも自分の経験をシェアする事で誰かのお役に立てれば幸いです。

健康と教育①

 

今日は以前紹介したHarvard大学カワチ教授の講義から特に興味深かった「健康と教育」について紹介したいと思います!!

 

子育て世代必見なんじゃないんでしょうか?笑

 

 

 

●健康と教育の関係とは?

 

まずはこのグラフを見てください。参考)Health, United States, SES and Health Chartbook 1998

 

 

 600 

500 

400 

300 

•c 200 

100 

Men 

Education 

12 yrs 

12 yrs 

013+ rs 

Women

f:id:idaiseikun:20180924000115p:plain

 

 

 

このグラフは教育年数が各棒グラフの棒の色で表されており、縦軸は10万人あたりの死亡数です。

 

グラフから男性でも女性でも教育年数が長いほど、死亡数が少ない事がわかります。

 

教育を受けるほど健康になるのか、健康だから教育が受けられているだけなのか。

 

果たしてどちらなんでしょうか。

 

 

「健康と教育」全2回にわたって解説していきたいと思います!!

 

 

実はこれに関連した面白い研究があります。

 

A) High/Scope Perry Pre-School Program

 

B) Abecedarian Program

 

 

という研究です。

 

 

Perry Program1962年から1967年にかけて行われた小学校に入る前の子どもに強力な教育を行った研究で、収入の低い家庭の123名の34歳の子ども達が研究に登録されました。

修士資格のある先生が平日毎朝2.5時間+週末90分の教育を行っています。1年間で30週実施し、2年間続け、そのあとの人生を40歳になるまで観察が行われています。

 

Abecedarian Programは1972年から1977年に行われ、小学校に入る前の子どもに強力な教育を行っています。

収入の低い家庭の111人の4か月の乳児が対象となり、なんと1日8時間の教育を週に5日、5年間行い、さらに1年生から3年生にかけても追加教育が行われています。1年間で50週実施し、その後を21歳まで追跡しています。

 

 

こんな研究、そもそも行われていた事に驚きですが、現代ではもう絶対に行われないような内容ですね。笑

 

 

 

 

さて、、、、、注目の結果です!!!!!

 

 

 

 

まずはAPerry Programです。

 

 

 A 80 

70 

50 

20 

10 

academic outcomes 

Special >10th 

Ed. percentile Grad. 

achievement 

economic outcomes 

Eam Own Neveron 

$2000+ Home Welfare 

per month 

as adult 

Intervention 

Control

f:id:idaiseikun:20180924000028p:plain

 

 

 

 

この図は27歳時点での結果を示した図です。

 

赤の棒が強力な教育を行った群で、青の棒が介入を行わなかった群です。

 

左側がその後の進学、右側がその後の経済力を比較しています。

 

 

 

介入を行った群の進学の結果は

 

特別な教育を必要とする割合が少なく、上位10%以内の成績を約50%が達成し、高校卒業者は65%でした。

時代が今とは異なるので”ん?”となる部分もありますが、介入してない群と比べて全然違いますね。

 

 

続いて、介入を行った群での経済力の結果です。

 

月2000ドル以上稼ぐ人、マイホームを所有している人、福祉サービスを受けた事のない人の割合、すべての項目で介入を行っていない群よりいい結果となっています。

 

 

続いて、これがAbecedarian Programの結果です。

 

 

 

 0 一 w 28 

SH e “ 9 

一 02 一 000 • 00 一 一 0 ¢ ~ 0 一 0 一 

u VO 0 d

f:id:idaiseikun:20180923235944p:plain

 

 

 

 

 

こちらでもコントロール群と比較して介入群でその後の進学や喫煙など生活習慣、職種などが異なっています。

 

 

 

 

 

●なぜこのように早期からの教育がユニークにパワフルなの?

 

 

 

一つの答えは早期からの教育は遂行機能と自己調整能力を向上させるということです。

 

我々は誰しもこの潜在的にこれらの能力をもっており、幼児期から青年期にかけて経験や環境によって形成されいくと考えられています。

 

 

 

 

最後まで見て頂きありがとうございました。

次にくる最新がん治療:カーティー療法とは?

 

 

こんにちわ!!

 

 

近年、がん治療において外科治療、化学療法、放射線療法につづく第4の治療として免疫療法が注目されていますが、

 

最近の腫瘍免疫学で最もHOTな話題であるカーティー療法について本日はぜひご紹介したいと思います。

 

●カーティーってなに??

 

カーティー療法はCAR-T therapy: Chimeric Antigen Receptor T cell therapyを表しており、日本語にするとキメラ抗原受容体T細胞療法となります。

 

T細胞は白血球の一種で、私たちの体で免疫機構のひとつとして働いており、細菌や

ウイルスに感染した細胞、がん細胞を攻撃する役割をもっています。

 

しかしながら、がん細胞は本来は私たちの細胞が様々な原因で異常をきたして発生するものであり、T細胞はがん細胞を攻撃対象として認識しづらいという側面があります。

 

また、ひとつのがん細胞を認識したとしてもがんはそれぞれが個性を持っていてなかなか全てを認識することは難しいのです。(heterogeneity)

 

今回のCAR-T療法ではそのような問題に対し、患者さんから集めて増やしたT細胞にがんを認識させるために遺伝子操作によってCARというキメラ抗原受容体を加えて患者さんに戻す事でT細胞にがんを認識するようにプログラムしています。

 

 

●どういったがんに効くの?

 

去年、FDAで治療薬キムリアが血液腫瘍の一部に対して承認されています。

日本も参加するELIANA試験では他の治療法がない、もしくは骨髄移植しかない患者さんの83%に効果を認めています。。

 

他の国際多施設共同臨床試験の結果でも血液系腫瘍にめちゃくちゃ効いていて販売元であるノバルティスは適応拡大の申請もしているようです。(JULIET試験)

 

是非興味がある方は臨床試験結果なども参照されて下さい

 

 

めちゃくちゃ効いてます。

 

 

●副作用はあるの??

 

血液系腫瘍で標的にしたCD19はがん細胞だけでなく正常細胞にも存在するので副作用は認めます。

 

呼吸困難、発熱、悪寒などが認められたようです。

 

 

●阪大や京大でも研究されている!?

 

阪大では多発性骨髄腫に対して腫瘍細胞に特異的に発現しているインテグリンβ7を標的にしたCAR-T療法が研究されており、医師主導治験に進む見込みです。

http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2017/20171107_3

 

京大はCAR-Tとは異なりますがiPS細胞からがんを殺傷する能力の高いT細胞を作り出すことに成功しています。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/161122_1.html

 

どちらもかなり有名なジャーナルに掲載されています。

 

●小野も参戦!!

 

かなり最近のニュースですが小野薬品がiPSを用いた創薬バイオベンチャーであるFate TherapeuticsとiPS細胞由来他家CAR-T療法に関する提携を結びました。

 

http://ir.fatetherapeutics.com/news-releases/news-release-details/fate-therapeutics-announces-shelf-car-t-cell-cancer

 

オプジーボで注目を集めた小野薬品ですが、腫瘍免疫関連での存在感を高めています。

 

 

●CAR-T療法は来年あたりに議論の的になる!!

 

CAR-T療法は治療効果以外にも注目を集めている側面があります。

 

実はノバルティスが承認申請を行ったキムリアは1回の治療でなんと、、、

 

 

 

約5300万円!!!!

 

 

 

小野のオプジーボが初め患者あたり約3000万とニュースにもなりかなり話題になりましたが、カーティー療法はそれを軽く超える金額がかかるのです!!

 

 

日本は国民皆保険制度や高額療養費制度があり、患者負担がそこまで莫大になることはないですが、

 

ただでさえ増え続けている社会保障負担にさらなる負担をかけることになるのは間違いないでしょう。

 

 

 

日本にいれば誰でも最新の治療が受けられる!?

 

 

しかし、実は医療費の増大は最新治療に国内に入ってくるまでに時間がかかるといったドラッグラグの問題や承認されても適応が制限されるといった問題も内包しており、目には見えづらい不利益を被っている場合もあります

 

 

製薬企業も個別化治療の発展によりなかなか製品化にかかるコストを回収できるだけの創薬が難しくなっている側面もあり、決して製薬会社が悪いという事ではありません。

 

近年、厚労省では薬価についてや医療の費用対効果測定などコストに関する意識も高くなってきています。

 

ひとりでも多くの患者さんを救うためには治療薬の開発だけでなく、持続可能な保険システムの再構築など、重厚長大化した医療の世界の中で考えなければならない事はもっと多いのではないか。

 

 

 

 

頭痛で昼寝してしまい寝れなくなった夜中にふと思い、アツくなりブログを書いてしまった秋の夜in Boston。

明日は朝からカンファあるのに、、、。

ハーバード超人気講座をもつイチローカワチ先生とは!?①

university.blogmura.com/university_idai/ranking.html

university.blogmura.com/university_idai/img/university_idai88_31.gif

 

こんにちわ!!

 

本日はボストンにきてから週に2回、Havard T.H. Chan School of Public Healthで出席させてもらっている

イチローカワチ先生についてご紹介したいと思います。

 

ボストンでイチローと言えばみなさんカワチ先生を思い浮かべるくらい御高名な方で、講義もとても人気で僕が見た時はWait listに20人登録されていました💦

 

カワチ先生を知らない方もいると思うのでまずは軽く紹介させて頂きます!!

 

カワチ先生は東京生まれの日本人ですが、12歳の頃にご家族の仕事の関係でニュージーランドに移り、オタゴ大学でMDPhDをとってらっしゃるようです。

 

ハーバードには1992年からいらっしゃるようで現在はハーバード公衆衛生大学院社会疫学教授Society and Healthという講座でレクチャーもされています。

 

ソーシャルキャピタルや経済的格差と健康の関係や、東日本大震災を題材に震災における社会的つながりと健康の関係をテーマに様々な論文や出版されています。

 

今日の講義は「教育と健康」でした。

 

教育期間が長さは健康に影響を及ぼしているのか

 

義務教育が始まる前に強力に教育すると将来の健康、年収、進学がどうなるのか

 

様々な過去の疫学研究を紹介して論じられていました。

 

年齢と英語の習熟度に相関はあるか?といった話もされていてとても興味深かったです。

 

 

今日はいろいろやらないといけない事もあって時間がないので

今回のタイトルはシリーズ化して上記の興味深い内容は実際の論文やトライアルを引用して

次回以降に説明したいと思います!!

 

 

今日はカワチ先生のご紹介だけになってしまいましたが、

次回を楽しみにしてくださるとうれしいです。

MITで医療ビッグデータ解析

こんにちわー。

 

 

本日はとあるきっかけで出席できたMITの講座についてざっくりですが見てきたものを紹介したいと思います。

 

 

最近は日本でも厚生労働省がレセプトデータを集積したナショナルデータベース(NDB)をオープンソース化したり、国立がん研究センターでは全国がん登録のデータ集積をしたりと医療においても何かとビッグデータが話題となっていますが、、、、

 

 

もちろんアメリカでもそれは同様です。

 

 

MITでは去年(2017年度)よりデータハッカソン形式の講座をスタートさせています。

Googleが協力しているため学生はGoogle cloud, Google Healthcare APIが使用可能みたいです。

解析するデータはBeth Israel Deaconess病院のICU データで(MIMIC data)、Githubで共有されているコードを使用し、R studioで解析を行います。

 

※ほかにも自分でコードを打ち込んだりとやり方はあるみたいですが、とりあえずはこれだけ知っていたら大丈夫らしいです。

 

 

学生同士でチームを作り、MITの先生方が考えた課題を選んで取り組んでいき、学生同士はSlackを使いプロジェクトを進行させているようでした。

3か月の期間で実際に論文発表までもっていくのがコースの目標のようです。

 

 

実際にコースを受けてみた感想としては、、、、

 

 

 

めちゃくちゃ実践的!!!!

 

 

 

 

ハッカソンだから当然っちゃ当然なんでしょう。

 

On the job trainingで学びながらプロジェクトを進めていくってような感じでした。

 

 

 

日本には国民皆保険制度のためにNDBのレセプトデータがあり、これは他国にはない優位性ですが、実はデータの信頼性という点においては少し問題もあるみたいです。

 

 

一方でICUデータは持続的なモニタリングにより客観性のあるデータが集積されるので、データ自体の信頼性が高いみたいです。

 

 

 

 

つまり、マシーンラーニングやニューラルネットワークといったビッグデータ解析の方法論だけでなく、ビッグデータ解析を前提にしたデータ集積といのもまた重要な点だと感じました。

 

 

 

 

 

ただ、正直なところそもそも日本語でも理解できるか怪しいところを英語で聞くのはとてもつらく、理解できなかったところも多かったですがとても興味深いコースで大変勉強になった事は間違いないです。

 

 

 

 

日本でもMIMIC dataの集積等が始まることに期待したいですね。

 

 

 

コースの詳細については書いていない事も多いのでもし詳細知りたい方がいらっしゃれば気軽にどうぞ。

 

 

 

 

 

注釈)

ハッカソン英語hackathon 、別名:hack day ,hackfest ,codefest )とはソフトウェア開発分野のプログラマグラフィックデザイナーユーザインタフェース設計者プロジェクトマネージャらが集中的に作業をするソフトウェア関連プロジェクトのイベントである[1]。個人ごとに作業する場合、班ごとに作業する場合、全体で一つの目標に作業する場合などがある。時にはハードウェアコンポーネントを扱うこともある。ハッカソンは1日から一週間の期間で開催することがある。いくつかのハッカソンは単に教育や社会的な目的を意図に開催する。使用に耐えるソフトウェアの開発や既存のソフトウェアを改善することを目標としている場合もある。また、使用プログラミング言語オペレーティングシステム、アプリケーション、API、主題や参加プログラマーの人数を定める場合がある。

 

貼り付け元  <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%83%E3%82%AB%E3%82%BD%E3%83%B3>

 

ボストン日本人研究者交流会に行ってきました!!

こんにちわー

 

今日は9月16日にMITにて行われた日本人研究者交流会について

 

ご紹介してみたいとおもいます。

 

ボストン日本人研究者交流会は在ボストン日本人の私的交流コミュニティで、月に1度基調講演を行い、あらゆる分野の研究者やHarvard学生、MIT学生、企業関係の方などが集まっています。

 

僕が参加した会では

MIT言語学教授の宮川繁先生による

 

「人類初期のイノベーション

 

という基調講演でした。

 

 

基調講演の内容については先生方の研究に密接に関わるので内容をここで詳しく書けないのが残念ですが、

 

 

とても面白かったです!!!!

 

 

普段なかなか触れる事のない学問領域ですが、言語、絵画、道具などのイノベーションなどについて最新の研究でわかっている事やこれからの研究の展望などについてお話しされていました。

 

特に最近の洞窟の研究の話がすごくおもしろかったので興味ある人は宮川先生のHPでもちぇっくしてみてくださいね。

 

そしてまた、その後の質疑応答がすごい!!

 

 

いろんな分野の先生方がいろんな視点から質問していて、思わず宮川先生も唸ってしまうほどでした。笑

 

 

 

そのあとは交流会に参加してきました!

 

日本人研究者交流会に参加する機会があったら是非その後の交流会にも出てみる事をおすすめしめす。

 

 

おもしろいネットワーキングでたくさんできて本当によかったです。

 

ボストンに来ている日本人はもちろんみなさんとてもいいひとで、すごい方が多く、なかなか日本では築けないようなネットワーキングができますよ!

 

 

参考)

ボストン日本人研究者交流会HP

http://www.boston-researchers.jp/

 

宮川繁先生

http://www.shigerumiyagawa.com/

ブログはじめます!!

 

はじめまして、現在某医学部に通っているとある医大生です。

 

 

 

2018年9月16日13:30分、

 

ボストンのブルックラインにあるとあるカフェで

 

 

ふと、、、、、

 

 

ブログを開設しようと思い立ち、

 

そのまま気付いたら何もわからないままこの記事を書いていました。

 

 

9月よりボストンのDana-Farber Cancer InstituteというHarvard Medical School関連のがんの研究所に短期留学中です。

 

 

ボストンには2か月間滞在予定なんですが、すでに2週間目にしてたくさん貴重な経験ができてるなと日々感じ、是非日本全国の医大生にもシェアしたいと考えたのがブログを始めたきっかけです。

 

 

全国の医大生たちに少しでも有益な情報をシェア出来たら幸いです。

 

 

これから余裕のある範囲で少しずつ色んな経験をシェアしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

 

 

 

以上、簡単な自己紹介がてらの初記事でした。

 

 

Bye